Visual Bank × AIST Solutions 対談【後編】
権利リスクを最小化した国産画像生成AIモデルから、日本独自のユースケースを創れるか?
- AI・半導体
- 共同研究

お話を伺った方
Visual Bankグループ 株式会社アマナイメージズ
代表取締役 望月 逸平氏
Visual Bank株式会社 テックリード
国立研究開発法人産業技術総合研究所 協力研究員 赤松 昇馬氏
株式会社AIST Solutions
代表取締役社長 逢󠄀坂 清治
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
情報・人間工学領域長 田中 良夫
Visual Bank × AIST Solutions 対談の背景 共同研究契約締結について
2024年7月、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)のグループ会社である株式会社AIST Solutions(以下、AISol(アイソル))とVisual Bankグループの株式会社アマナイメージズは、「権利リスクを最小化した国産画像生成AIモデル」の開発に向けた共同研究契約を締結しました。(参照: ニュースリリースはこちら )
「権利リスクを最小化した国産画像生成AIモデル」とは、産総研が有する、実画像の代わりに数式から生成した図形を学習データとして使用する「数式駆動教師あり学習」と、Visual Bankのグループ会社であるアマナイメージズが管理する「権利関係が明確で倫理的な問題を含まないQlean Dataset(キュリンデータセット)の実画像データ」を掛け合わせた独自の画像生成AIモデルです。AI分野において昨今問題視されている権利侵害の懸念がなく、安心して商用利用できます。本研究は、数式駆動教師あり学習をベースとした画像生成AIモデルの構築を目指し、視覚・言語モデルの構築に取り組みます。その成果により、各産業界におけるAIの利活用が促進されることが期待されます。
前編「共通するのは『黒子』としての想い。日本発の画像生成AIモデルを目指す共同研究」
※こちらの記事は、 上記の対談記事の後編です。 前編では、AISol代表取締役社長 逢󠄀坂清治と産総研において研究者を率いる情報・人間工学領域長 田中良夫が、Visual Bankグループの望月逸平氏(同グループ 株式会社アマナイメージズ代表取締役)とVisual Bankのテックリード赤松昇馬氏とともに、「権利リスクを最小化した国産画像生成AIモデル」開発の意義について語り合いました。 後編では、両者が考える画像生成におけるリスクや今後の展望についてお伝えします。
あらゆる産業から、権利リスクを取り除く。
―これまで、権利リスクを最小化するというキーワードで語られてきましたが、画像生成におけるリスクについて具体的にはどのように考えていますか?
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2022年に生成AIが登場して以降、AI分野において著作権や肖像権などの権利をどう取り扱っていくかという点に注目が集まっています。著作物の無断学習や、特定IPを模倣した生成画像が拡散されているなど、ルールが未整備な状態です。その中で、「権利関係が明瞭であるか」「権利リスクをどのように最小化するか」は、AI開発に関わる人や、AIを利用する人にとっての重要なテーマになっていますね。
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AI分野の技術進歩はあまりに変化が速いので、常に最新の状況に適応する必要がありますよね。
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また、”権利”というと法的なものに意識が向きがちですが、同じくらい重要なのは「クリエイターや一般の方々がどう受け止めるか」という広い枠で捉えることだと考えています。コンプライアンスの概念と一緒で、「法的には問題ないからAIの学習に使っていいですよ」と説明したとしても社会の信頼や納得は得られません。
「AI分野における権利リスクをどのように最小化するか」という課題は本質的ではあるものの、短期的収益も目指さなければならない営利企業では研究活動が難しい側面があると思います。一方、公的な研究機関である産総研グループと継続的・長期的なプロジェクトとして取り組めることも意義深いと感じています。
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産総研は国研として産業貢献をミッションとしているため、民間企業ではできないファンダメンタルな研究に多く取り組んでいます。そのため、日本が一丸となって技術とマーケティングの両輪を担っていく、という意識を強く持つことが大切だと考えています。
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今回の共同研究は、あらゆる産業界における画像生成AIの利用シーンから、権利関連のトラブルや権利リスクを取り除けるものだと思います。そうした不安や懸念がなくなることで、新しい事業やアイデアが生まれてくると期待したいです。
日本発の画像生成AIだから実現できる、日本独自のユースケース
―今回の共同研究は、日本から始まる「国産画像生成AIモデル」という点に強い意義があると思います。日本発だからこそできることについては、どのように考えていらっしゃいますか?
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今AISolとしては日本を一つの株式会社のように捉えて、ここで世界を驚かせるものを作っていくしかない、と考えています。日本には漫画や音楽など良質なコンテンツが多くありますよね。産総研という技術エンジンを作る部隊と、Visual Bankのデータ部隊がそれらの日本らしい資産を活用することで、良いエコシステムが構築できれば良いですね。
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大変興味深いお考えだと感じました。我々が共同開発する「国産画像生成AIモデル」と海外発の生成AIとの最も大きな違いを、「日本の文化や雰囲気だけでなく、日本人が言語化できていない慣習や機微を学習し、日本らしさを生成できること」という強みにすることができれば、日本独自の事例を生んでいくことができるかもしれませんね。
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日本が世界に誇る漫画やアニメ、ゲームと言ったIPコンテンツ業界の支援にも有効なアプローチになりそうですね。漫画やアニメを制作する上で”日本らしい”や”日本情緒を感じる”という点は、重要な要素の1つだからです。 そうした日本らしさを表現できる生成AIモデルを開発することで、アニメーターや漫画家がさらなる創造性を発揮できる環境を構築したいです。
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かつてスティーブ・ジョブズが浮世絵に惹かれていたように、日本には約400年前から世界を驚かせるような美的感性があります。その歴史を考えると、日本の美的感覚をAIが上回るとは思えません。やはり、どんな時代もエコシステムの頂点はクリエイターなど人間の感性であるべきだと考えています。 我々産総研グループの科学技術とVisual Bank御社のアセットから生み出されるものは、創造支援をアクセレレートするような良質なツールであるべきで、そのトップにはクリエイターがいるということを絶対に忘れてはいけませんね。
―最後に今後の展望を教えてください。
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我々が目指す最終的なゴールに行き着くためには、今後も様々な研究機関や企業とのパートナーシップが欠かせません。今後、より多くの産業に対してこの共同研究の成果を届けていくために、産業ごとに特化したデータを収集していく必要があると考えています。 「権利リスクを最小化した国産画像生成AIモデル」のように権利や倫理がきちんとカバーされた基盤モデルを開発できれば、様々な分野でユースケースが生まれ、多様な事業に展開できると考えています。我々がそのイノベーションの起点になりたいという思いが、本日の対談を通じて強くなりました。
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この研究をさらに発展させていくためには、我々以外の力も必要だとも感じます。より広く、様々な産業界を支援するエコシステムを生み出していくために、この取り組みに共感してくださる方に参加してもらいたいですね。まさに「この指止まれ」で巻き込みながら、日本の産業を発展させていきたいですね。
撮影場所:WeWork日比谷パークフロント
【前編】共通するのは『黒子』としての想い。日本発の画像生成AIモデルを目指す共同研究





