サーキュラーエコノミー移行とカーボンニュートラル社会実現へ

CIRCULAR×IDEA特集バナー

AIST Solutionsの7つのソリューション領域は、産総研がこれまでに培った技術資産と市場ニーズに合わせ構成されています。
そのソリューション領域の一つ「サーキュラーエコノミー」は、カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブと共に、人類が対峙する喫緊の社会課題の一つといえます。

CE_ICEA_3要素
世界中でこの取り組みが進む中、企業群全体のサプライチェーンにおいても、環境負荷の軽減や、環境に適合した技術や製品を広く社会に普及させていくことが求められています。
ここでは、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に向けたソリューションをご紹介します。

 

サーキュラーエコノミーの実現に向けた革新技術の社会実装へ

サンプル画像サーキュラーエコノミー(CE)は、地球環境を守りながら、社会も発展させていくあたらしい経済のしくみです。従来のリニアエコノミーからCEへの移行は、単独の企業や研究機関だけでは実現できない、大きな社会構造の転換を伴います。
これまで、CE政策は欧州の取り組みが先行し、日本はその後を追うという流れでした。しかし今、日本の強い技術やきめ細やかな物流・商流を活かし、CEのフロンティアとして新たな産業を築く時ではないでしょうか。

産総研グループは、技術を育てて社会につなぐ橋渡し役を担い、社会・業界・地域を巻き込んだエコシステムの構築を目指しています。

サーキュラーエコノミー実現に資する革新リサイクル技術 

サンプル画像産総研はCEに関連する多くのテーマの研究をしています。
その中でも、私たちが注力している技術は、常温・常圧で進む次世代PETケミカルリサイクルです。

PET(ポリエチレンテレフタレート)と聞くと、多くの方がペットボトルをイメージされると思います。
実はPETは、衣類や包装フィルムなど、私たちが日常で使う様々な製品に使用されています。
多くの製品は、混紡繊維や複合フィルムなど“複合PET”で、従来のリサイクル方法は適用が困難でした。そのため、繊維やフィルムなどの非ボトル系PETのリサイクル率の低さが課題となっています。

常温・常圧で進む次世代PETケミカルリサイクルを実現
サンプル画像1

 

従来のケミカルリサイクル法は、エネルギーを大量に使い高温高圧で反応させる必要がるという大きな課題がありました。産総研が発見したこの触媒反応を使った新たな手法で開発したケミカルリサイクル法は、50℃という低いエネルギー消費で、効率的に狙ったプラのみを解重合できる革新的プロセスです。

持続可能なCE社会を拓くため、産総研グループでは2030年代前半の実用化を目指し、技術開発から社会実装に取り組んでいます。

 

カーボンニュートラルの実現へ。網羅性・代表性・安全性・透明性を担保したデータベース「AIST-IDEA」

サンプル画像世界中で温暖化や気候変動への対策として、GHG排出量削減への対応が強く求められる中、日本でも2050年カーボンニュートラル実現を目指し、多くの企業が取り組みを加速させています。
2027年3月期からは東証プライム市場に上場する時価総額3兆円以上での企業にはScope3(調達から廃棄までを含むサプライチェーン)まで含めたGHG排出量の開示が義務化されます。
しかし、製造業に求められるScope3の排出量算定はかなり複雑で、その算出には膨大なデータが必要となり、その入手経路や算定根拠の特定が高いハードルとなっています。

産総研の前身である資源循環技術総合研究所では、製品やサービスのライフサイクルアセスメント(LCA)の重要性が指摘されはじめた30~40年前から、この研究を開始しました。長期間にわたり続けられた研究成果から生み出されたAIST-IDEAは、LCAや製品CFP・Scope3排出量算定を実施する際に必要となる排出原単位を、国際規格に沿って網羅性、代表性、安全性、透明性を担保しながら提供する世界最大のインベントリデータベースです。

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは

製品が作られる過程から使われる過程、廃棄される過程に至るまでの過程のなかで、資源の使用やエネルギー消費などによる環境負荷(CO₂,HFC等のGHG排出量、NOx,SOx等、資源消費など)がどの程度であるかを評価、分析する手法です。

CE_ICEA_LCA

迫る各種環境規制への対応

  1. GHG排出量の情報開示義務化への対応
    2027年3月期から時価総額3兆円以上で東証プライム市場に上場する企業は、Scope3(サプライチェーン全体)まで含めたGHG排出量の情報開示が義務化されます。AIST-IDEAは、サプライチェーンの上流・下流も含めた広い範囲におけるGHG排出量の細かな計算に必要なデータが収録されており、把握が難しい他社の経済活動まで対応できます。
  2. 欧州規制への対応
    欧州を中心とした環境規制に対応するには、製品ごとのライフサイクル段階別のCO₂排出量(カーボンフットプリント「CFP」)算出が必要となるケースが多くあります。これら高水準の要求に応えるには、AIST-IDEAの活用が不可欠です。

AIST-IDEAの主要な活用用途と社会課題解決への貢献

  1. Scope3への活用
    企業活動が社会へ与える影響の見える化を実現。年間のGHG排出量をサプライチェーンを含めて集計します。
  2. 製品カーボンフットプリント(CFP)算定への活用
    1つの製品のサプライチェーン全過程に含まれる、原材料の調達から活動量に費やす多彩なデータソースをもとに算出された「排出原単位」から計算されたCO₂排出量が可視化されます。総量だけでなく、原料調達から流通、廃棄に至るまで、工程ごとの内訳が、食品や薬の成分表のように詳細に把握することができます。

CE_ICEA_CFP

AIST-IDEAは、GHG排出量の算定のみでなく、特定の地域の水資源や土地活用による環境影響の評価などでも活用できます。
カーボンニュートラル実現のみならず、ネイチャーポジティブなどの社会課題にも貢献できるポテンシャルを持っています。

関連情報

サーキュラーエコノミー  AIST-IDEAサービスのご案内

  • 【更新日】2025年10月21日
  • 印刷する